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ご挨拶

江石 清行

江石 清行

 日本救急医学会九州地方会は、九州沖縄が一体となって英知を集め、情報を共有化する場として発展し、このたび、第20回という節目の会を迎えることとなりました。その学会の会長を務めさせていただき、鹿児島県で開催させていただけますことは、大変光栄に存じますとともに、会員の皆様方に熱く御礼申し上げます。

 鹿児島県における救急への取り組みは全国的に見ても早く、年に2回の鹿児島救急医学会も次回で第79回を数えます。その発展は多くの医師1人1人の志による“個の力”に依存していたところがありました。現在では当たり前になった感のある“救急の日”などの取り組みも当時の鹿児島県から情報発信し、全国に定着していったと伺っております。昭和50年代後半に鹿児島大学医学部に救急部が立ち上がった頃には、救急隊員と医師の“連携”に軸足を置いた運用を行っていました。また、救急医学が発展し救急医療が高度化していくと、個々の力ではなく組織の力が必要になってきました。さらに、組織間の連携により、それまで不可能であったことが可能になることもあると思います。病院内での高度な医療、病院前救急診療や災害医療など、この20年の間に大きく発展を遂げ、組織間の連携の重要性はますます強まりつつあります。そのような、同一施設内での部門間連携、他施設との施設間連携、多職種間の連携など、連携の在り方には各県でさまざまな工夫があるのではないかと思います。是非、各県からの情報発信をお願いいたします。

 また、今回は、特別講演として、東海大学医学部付属病院高度救命救急センターから辻 友篤先生をお招きしました。辻 友篤先生は、臨床の最前線で現場を牽引する救急医としての立場と厚生労働省医政局に在籍して行政から救急医療体制を俯瞰するような立場の双方をご経験されています。その意味で、今、現場で求められる救急医療の将来像やそれを具体的に可能にする行政との関わり方について貴重な情報が得られるのではないかと期待しています。本特別講演は会長が座長を務めることとなっていますが、“特別”講演として1名コメンテーターをお招きしました。このように総務省自治行政局市町村課長の海老原 諭氏です。その掛け合いの中で、今回のテーマである“連携”にふさわしい今後の救急医療体制のあり方が示すことができたらと願っています。

 今回の学会において、学会員の皆さま1人1人が“連携”という視点から新たな救急医療の展望を描けることを願っております。皆様の鹿児島市へのお越しを心よりお待ち申し上げます。

江石 清行